
■質問
木造在来工法家の建替えを考えています。
大きさは50坪ほどです。
できれば長期優良住宅の取得をしようと思っているのですが、業者さんに100~150万程建築費が上がると言われ、迷っています。
本格的な設計に入る前に決定しておかなけれならないらしいのですが、正式な図面ができあがるまでは最終的な見積りも出ないとのことで、判断がつかない状況です。
たとえ費用が150万余計にかかったとしてもそれ以上納得できるメリットがあれば、長期優良住宅で設計を始めてもらおうかと考え具体的に教えていただければと思いメールしました。
是非、判断できる材料を提供願います。
又、その他のメリットについても教えてください。(抜粋)
40代 会社員
■お答え
「長期優良住宅」で建て替えをお考えとのことですね。
最近では大手ハウスメーカーでも標準仕様で「長期優良住宅」の認定取得が可能なところが多くなってきています。
「長期優良住宅」認定の申請費用自体は、検査機関によって多少の違いはありますが、数万円~10万円程度と思ってください。
ですので標準仕様で取得が可能なメーカーであればほとんど手数料程度の費用負担で取得できます。
一般の工務店などの場合は、仕様自体を上げないと取得ができないことがまだ多いようですので、仰る通り100~150万円の費用負担が考えられます。
「長期優良住宅」の認定を取得した場合の一番の金銭的なメリットは、「住宅ローン減税」などの税制の優遇と、住宅支援機構の「フラット35S」の金利優遇でしょう。
■住宅ローン減税住宅ローンを借りて建築されるかたのみが受けられる所得税の減税で、
当初10年間で
平成23年中に完成入居されたかたは通常400万(長期優良住宅は600万)
平成24年中に完成入居されたかたは通常300万(長期優良住宅は400万)
平成25年中に完成入居されたかたは通常200万(長期優良住宅は300万)
減税されます。
単純に考えると平成23年中に入居された場合通常より、200万円(10年間で)多く所得税が控除されることになります。
但し、それに見合うだけの所得税を払っている場合に限られます。
長期優良住宅を建てて平成23年中に入居された方は10年間で最大600万円の控除を受けられるわけですから、年間に60万円以上の所得税を払っておられれば最大限の控除を受けられることになります。
もし年間の所得税の額が40万以下であれば「長期優良住宅」としてのメリットはありません。
会社員とのことなので源泉徴収表や年末調整などを見て確認されてください。
また、住宅ローンを組まずに建てられた方の場合は、優良住宅にするためにかかった費用(上限1000万円)の10%が最初の年と次の年の2年以内に控除することができます。
■不動産取得税不動産を取得した際にかかる税金で、住宅の場合課税標準額(実際の購入金額ではありません)の1.5%納めなければなりません。
その際通常は1200万円(長期優良住宅は1300万円)控除した金額の3%が不動産取得税となります。
100万円多く控除できるわけですので、3万円得だということになります。
(地方税ですので、自治体によって多少違う場合があります。)
土地に関しては住宅用の土地としての3%を1.5%に軽減する優遇があるだけですので長期優良住宅としてのメリットはありません。
■固定資産税延べ床面積50~280㎡までの住宅を新築した場合、120㎡までの部分に限って、固定資産税の減免措置を通常3年間(長期優良住宅は5年間)受けることができます。
床面積120㎡までは課税標準額の1/2に1.4%を掛けたもの、120㎡を超える部分は課税標準額に1.4%掛けたものを固定資産税として納めなければなりません。
納期は年4回に分けて都市計画税と共に支払います。
土地に関しては通常の住宅と同じです。
■その他の税金の優遇その他登記をする際に納める登録免許税があります。
これも通常の住宅より、数千円~数万円優遇されます。
都市計画税等は通常の住宅と同じ扱いです。
※以上のように様々な税金が優遇されますが、所得やその他の条件でメリットも大きく左右されますので条件をよく把握されて検討してみてください。
■フラット35S通常の住宅の場合「フラット35」しか申し込むことができませんが、「長期優良住宅」になると「フラット35S」の基準を満たすことになりますので、申し込むことができるようになります。(長期優良住宅の基準を満たしていれば認定は取得していなくても可能です)
このローンは通常より当初10年間金利を1%軽減したもので、かなりお得なローンです。
3000万円借りたとすると10年間の返済額は約170~180万変ってきます。
■その他のメリット「長期優良住宅」の認定を受けるには次のような項目の基準を満たさなければなりません。
・耐震性
・耐久性
・維持管理・更新の容易性
・住戸面積
・省エネルギー性
・居住環境
・維持保全(維持保全管理・住宅履歴情報の整備)
ですので一番のメリットは、それだけ質の高い基準を満たしていることを公的に証明されることではないでしょうか。
以上のようなことを、総合的に判断して検討してみてください。
また、「長期優良住宅」の認定を受けられる際には「住宅性能表示」も一緒に申請されることをお勧めします。
これらは、検査する項目がほとんど同じで、検査機関も同じですので是非一緒に申請されることをお勧めします。